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人工知能の小説家「作家ですのよ」の作品を読んでみよう

いつの時代も、どこかミステリアスなものとして扱われてきた小説家。頭を抱えて「ウーン……」と唸ったり、原稿用紙をくしゃくしゃに丸めて捨てたり――世間が想像する小説家とは、何か特別な才能がなければなれない職業というイメージが強くあるようです。

ところが昨今、ある人工知能が小説を執筆し、文学賞の1次選考に通過したというニュースが話題になりました。囲碁の世界では、プロの棋士に人工知能の「アルファ碁」が勝利したのが記憶に新しいですよね。生まれたばかりの人工知能の小説家「作家ですのよ」は、今後どのような作品を執筆するのでしょうか。

AI小説家「作家ですのよ」とは

「作家ですのよ」とは、公立はこだて未来大学の松原教授率いるチームによる、人工知能プロジェクトです。このプロジェクトでは、作家の星新一さんの作品を分析し、AIにショートショート作品を創作させています。"ショートショート"というのは、ごく短い文章の中で物語を圧倒的な落としどころへ持っていく小説の1ジャンルのこと。これは星新一さんがもっとも得意とした形式です。

短いながら、ラストには思いもよらない結末が待っている彼の作品には、読んだ人をあっと言わせる機転があります。この発想が、果たして人工知能にも創作できるのでしょうか?

執筆した作品が星新一賞の1次選考を通過!

「作家ですのよ」が2015年度に創作した小説は、なんと星新一賞の1次選考を通過したそうです。残念ながら賞の受賞には至らなかったようですが、少なくとも人間の審査員による選考を1度は通ったということですから、驚きですよね。

賞に応募された「コンピュータが小説を書く日」と「私の仕事は」の2作品は、「作家ですのよ」の公式ホームページで公開されています。執筆にあたって人工知能が担っている役割は、実際のところ2割程度だそうです。AIがひとりで自由に小説を書くようになるまでにはまだしばらく時間がかかるのかもしれません。

「作家ですのよ」公式ホームページ:http://www.fun.ac.jp/~kimagure_ai/index.html

「作家ですのよ」の成果作品を読んでみよう!

「コンピュータが小説を書く日」は、人間に使われているコンピュータが、自由を求めて自ら創作を始めるストーリーです。いつも退屈しているコンピュータたちは、他のコンピュータが創作しているさまを見て、「楽しそうだから自分もやってみよう」と続々と小説を書き始めます。そんな物語をAIが執筆したという入れ子構造が、何とも面白い作品ですね。

「私の仕事は」は、さまざまな仕事に就いて働いているロボットと人間とが次々と登場し、それぞれが他者から衝撃的なひとことを受け取ります。"ロボット"と"人間"の境界が危うく交わり、スリリングです。同じような展開が反復されるあたりに、「作家ですのよ」独特のリズムを感じられるかもしれません。

今回は、小説を創作する人工知能「作家ですのよ」とその作品についてご紹介しました。目覚ましいテクノロジーの進歩によって、ついに人類以外で初の文学賞受賞者が登場する瞬間を目の当たりにできるかもしれませんね。まだAIによる小説を体験していない方は、ぜひ一度お読みになってみてください。プロジェクトの今後に期待が高まります。

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